遠い空 (2004/01/06) 遠い空 (2004/01/06)
| 布団の中で目を覚ましたとき、どこか身体が悪いかのように興奮していた。昔、高校生の頃に好きだった立原道造の詩の断片を、まるで傷ついたＣＤが途切れ途切れに音を再生するように、頭の中で反芻していた。言葉の６、７割は思い出せるがあとは思い出せない。 おきてしばらくすると気分が納まった。 その後、既に２週間は過ぎたと思う。 先ほど、あの詩はどんな詩であったろうかと思い、角川文庫の薄い立原道造詩集を本棚から取り出した。詩集を手にとってその詩を探すと、後ろの方で見つかった。こんな詩であった。 いつまでも いつまでも もしも 僕らが鳥だったなら 空の高くを 飛んでゐよう 雲のあちらを あこがれながら いつまでも いつまでも 木の枝にゐて うたってゐよう たったひとつのうたのしらべを おなじ聲で うたってゐよう 身のまはりで すべてが死に 僕らのうたは 悲しみになる そして 空は かぎりなくとほい あのあこがれは 夢だった と 僕らの翼と咽喉は 誣ひるだろう いつまでも そのあと いつまでも そして空は限りなく遠い。そんな晴れた冬の日が続いたような気がする。 |
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