過客再来 (2004/06/13)

　死んだと思って諦めていた赤白猫が生きて姿を現した。赤白猫が死んだとホームページに書いた次の日のことである。
　２階の窓から外を見ていると、隣家との境の塀の上に猫が現れた。赤白猫だった。目を疑うほどだった。
　私は急いで１階に降りた。まず家猫のチーコを家の中に押しとどめる。外に出すと赤白猫を追い出しにかかる恐れがあるからである。庭に出て見回したけれど、赤白の姿が見えない。と思ったら、温室の中に入って固形食糧を食べている。赤白が以前に好んだ子猫用の缶詰をお椀にあけ、近くに置いた。食べない。家に戻って高い猫缶詰をあけて出してみると今度は食べ始めた。
　赤白は高い缶詰食糧を半分ほど食べ終わるとさっさと庭を出ていった。その姿を見ながら嬉しくなった。

　赤白猫の行動範囲は我が家の付近であり、生きていれば見かけないことはないと思っていた。今年に入ってほとんど毎日、姿を見せていた。だから現れなくなった３日目には、この病気がちな猫は死んでしまったと諦めてしまった。具合が悪くなり、どこかに隠れて死んでしまったのだと思っていた。しかしこうやってまた現れた。確かに身体の毛はボロボロであるけれど、動きを見ると元気そうに見える。この間、どこかに旅に出ていたのであろうか？

　こうやって赤白猫はまた、我が家の敷地に毎日現れるようになった。朝現れることもあれば、昼か夕方に現れることもある。見かけたら餌のお椀を出すようにカミさんにも頼んでいて、結構家の近くで寝転んでいるらしい。私が家にいるときにもよく、塀の上や車の上でゴロ寝しているのを見かける。食糧のお椀を持って近づくとニャーと鳴く。お椀を赤白の近くに置くと食べ始めることが多い。
　オスである赤白猫とメス猫のチーコとは元来、仲が悪くない。しかし最近、何度かチーコが赤白猫を追い立てることがあった。だから赤白猫が来たときにはチーコを外に出さないようにしていたけれど、チーコは再び、赤白猫と共存するようになったようだ。
　赤白猫が塀の上でゴロ寝している。そんなときにチーコは、塀の近くの自転車の、子供用シートの上で、赤白と同じ方向を向いてしゃがんでいる。近所のおばさんが、２匹仲がいいんだねという。

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