月影 (2004/08/01)
| ７月末は台風１０号のせいか、時折夕立のような雨が降る日が続いた。晴れているのに雨が降る。帰り道、太い道路が雨で水しぶきをあげているのに空が青い。何やら不思議な光景のような気がした。 夜に満月を眺める。なぜか郷里の母から私に電話が来て、満月だから子供に月を見せろと伝える。そういえば母からはよく満月のときにそういう電話がかかってくる。 ８月１日の日曜日には雨はもう降らなくなった。日中から暑い日となった。 昼間、２階から庭を見ると白い犬が入ってきている。近所のＨさん宅のシロである。うちの庭に置いた猫食糧を食べようとしている。私は急いで２階から降りて庭に出てシロを追い出した。庭のヒマワリの下辺りには野良猫、あるいは外猫たちがいる。子猫もいる。犬がいるのは危ないと思った。シロは私が近づくと庭から出てゆく。私が後を追うとそのまま飼い主のＨさん宅の門の中に入っていった。 その夜、何気なく外を見ると車の辺りに白い影が見える。何かはよく分からないけれど、シロの姿のように見えた。さっき、庭には外猫たちがいるのを確認したばかりだった。猫が危ないと思い、また急いで庭に出た。 車の近くに行ったけれど犬の姿はどこにもない。耳を澄ませても犬の気配は感じない。道路にも犬はいない。念のために庭を見回ろうとした。ふと車の方を振り向くと、白っぽい影が見えた。満月が犬のような格好の光を地面に照らし出していたのだ。庭の猫たちは穏やかに温室付近で休んでいた。 |
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