母子猫 (2004/12/16)

　子猫のモモは大きくなった。まだ成猫ほどではないけれども、成猫の大きさに近づいている。
　そのモモの母猫、同じような赤の猫は、我が家の庭の常連になっている。赤白猫のためのピアノ室部屋にも他の猫たちと一緒に入り込む。モモのことはずっと２階に置いているので、モモと母猫が会うことはない。

　この母猫はモモを私が捕獲して２階に連れて行ってから、発情していろんな猫と交尾を始めた。８月のことである。しばらくすると母猫のお腹がまた大きくなった。
　私のカミさんは、猫は３ヶ月で生まれるといっていた。ということは１１月か、と考えた。しかしモモを動物病院に連れて行った際、猫はほぼ２ヶ月で生まれる、という説明を受けた。
　ここで問題である。母猫は放っておくと子供を産み続ける。できれば捕まえて避妊手術をしたい。出産事態でメス猫は命を失うことも多いという。
　しかしこの母猫、人間を警戒して私にも他の猫より距離を置く。近づくと逃げる。そんな訳で母猫を捕まえることはできなかった。２度ほど母猫を私が手で掴むところまでやったけれど、すり抜けられてしまった。
　母猫を捕まえられたとして、お腹の子供を流産させるかどうか、と悩んだ。既にお腹は大きいのだから、人間で言えば人工的に流産させるのは無理である。その感覚から、カミさんは「流産は無理」といっていた。しかし動物病院では「やった方がよい」という。その辺は病院の判断である。そう聴くと私とカミさんは捕まえて流産させる選択肢を考え始めた。私とカミさんで悩んだけれど、結局母猫を捕まえられないので、流産させる余地はなくなった。

　１０月のこと、母猫がしばらく姿を見せなかった。子供をどこかで産んでいるのではないか、とカミさんと話した。しかしその後、母猫は姿を見せるけれども子猫の姿はなかった。もしや流産か死産をしたのか、と思った。
　しかし少しして、カミさんが子猫を２匹見かけた。私も見た。生まれたのだ。１匹は母猫と同じ赤、つまり茶色い子猫である。庭にいる猫で一番似ているのは、オスの赤猫である。もう１匹は黒と茶が混じった子猫である。たぶん父親は、この敷地内に時折現れる、足の悪い黒猫ではないかと思う。

　子猫はどこにいるのかはよく分からない。我が家の敷地内に隠れているかも知れず、別の場所に居るかも知れない。しかし子猫を私も家族も時折見かける。人気のない時間には子猫が道路を走り回っている、とカミさんや娘が言う。

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