コロちゃんといる夏（1） (2005/08/18)
| 昨年の夏は子猫のモモちゃんと、私の書斎で夏を過ごした。片方の手のひらに乗るほど小さい子猫のモモちゃんは、私が拾ったときには死にそうだった。モモちゃんを通院させ、薬を与えながら昨年の夏は過ぎた。その間、モモちゃんは次第に危険な状態を脱し、元気になり、ついには私の部屋を暴れ回るまでになった。部屋中、オシッコをかけられた。試験の答案もだいぶ、オシッコまみれになった。 さて、今年はコロちゃんといる夏となった。 野良子猫のコロちゃんが生まれたのは昨年の１０月頃であるから、コロちゃんは既に１０ヶ月になる。身体も成猫に近い。 コロちゃんは我が家の庭にいる猫の中でも特に人になついていた。時折家に入り込んではカミさんや娘たちにかまってもらっていた。見たところ元気なオス猫である。 ７月も１０日頃のことだったと思う。私が庭に出ると猫たちが寄ってきた。私は食糧をあげた。しかし、いつもは我先に寄って来るコロちゃんが後ろの方にいて食べようとはしない。コロちゃんの近くに食糧を持っていってあげても、食べなかった。元気がなかった。抱いてみると熱い。熱があるように思った。 後で知った話、猫の平温は３８度ほどであるらしく、人間よりは高い。しかしそのときのコロちゃんは通常よりも高いと思えた。 すぐに捕まえて動物病院に連れて行こう、と判断した。カミさんも同意した。元気のないコロちゃんを籠に入れるのは簡単だった。 動物病院でコロちゃんを見てもらった。熱は４０度で、確かに熱がある。脱水もあるようだった。そのときは点滴をして様子を見ることにした。その日はコロちゃんを家に連れ帰った。 連れ帰ってもコロちゃんを収容するのは結局、私の部屋しかない。病気の状態では外に置く訳にも行かない。既にモモちゃんと毛長がいる私の部屋にコロちゃんを入れた籠を持って行き、大き目のケージをコロちゃん専用にしてその中に入れた。ぐったりしたコロちゃんは割りとおとなしかったと思う。 詳しい経過は覚えていないが、短期間の入院と通院でコロちゃんはいったん良くなったと思う。元気になったコロちゃんは再び、よく食べるようになった。 元気になると問題なのは、コロちゃんが部屋の外に出たがることである。部屋の中でコロちゃんは声をあげて鳴き続け、ちょうど病気の赤白がそうしたように、部屋を廊下と繋ぐ障子のドアを開けようとしてもがく。 カミさんはコロちゃんを外に置くように薦める。しかし私には抵抗があった。なるべく家の中で飼った方が管理が簡単だし、外に置けばまた別の病気になる恐れがあると思えた。 そう思って悩んでいる間にも、コロちゃんは部屋の外に出ようともがく。ある夜中、コロちゃんを外に出しても仕方がないか、と考えた。コロちゃんを籠に入れて猫ドアで外と通じるピアノ室部屋の隙間に連れて行った。籠から出すとコロちゃんは喜んで庭へと出て行った。外猫に戻ったのである。 だが話は始まったばかりだったのである。（続く） |
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