コロちゃんといる夏（3）　 (2005/08/20)

　私が旅行から戻った日、コロちゃんはまだ病院にいた。カミさんの話では、動物病院の院長がコロちゃんの件で私に話をしたいという。コロちゃんの検査のために試験開腹をする、ということらしい。
　次の日は大学で期末試験をせねばならず、私は朝早く出かけた。用が終わってからなるべく早く帰宅した。１９時までの動物病院の時間に何とか間に合った。しかしあいにく、院長に緊急の手術が入ったとかで、明日出直すことになった。

　次の日、カミさんと小さい息子と一緒に動物病院をまた訪れた。そのときにコロちゃんのレントゲン写真を見せられた。レントゲンを撮るためにコロちゃんにバリウムを飲ませたけれど、やはり大半を吐いてしまったらしい。それでも多少は飲んでいるのでレントゲンを何枚か撮ったという。確かに、流れが腸の途中で途切れて見える。
　ここから先、詳しいことは開腹するのがよい、という説明だった。この病院は内視鏡の設備もあるが、開腹した方がすぐに処置できることもあり、猫にとっては負担が少ない、といわれた。良い方のシナリオは単に毛玉などが腸にあって詰まっている、ということであり、その場合はすぐに処置できる。髪の毛のような細長いものが腸にあって悪い作用をしていることもあるという。実際に開腹してみるといろんなことが分かるかも知れない、ということだった。手術することに同意した。
　この試験的な開腹手術をしたのは次の日である。さらに次の日に私は動物病院で説明を受けた。結果は、よく分からない、というものである。毛玉などの異物はなく、癌もないという。ただ、すい臓と腸の一部に炎症があって腫れている。外科的にすることはないと分かったので、後は内科的に直るのを待つ、ということである。何ともハッキリしない結果であるけれど、楽観的に考えると決定的に悪いところはない、ということでもある。
　手術をしたといってもコロちゃんはその日から、見た目には元気そうだった。その後数日間入院し、８月６日には白血球の数が正常になったので退院した。

　実はコロちゃんを病院から戻す半日ほど前から、家猫のチーコが外出して戻らない、という事件がおきた。チーコは外出して３８時間後に家に戻った。このチーコの件については後ほど別ページで書いてみよう。しかしこのチーコの「家出」は我が家にとっては深刻だった。それまでコロちゃんを１階の居間のケージに置いていたけれど、居間はもともとチーコの領域である。だから、コロちゃんを居間に置くことに私は反対していた。チーコがいなくなってしまうことを、まさに心配していたからである。この事件を機に、コロちゃんは２階の私の部屋に移すことにした。

　退院してコロちゃんはしばらく落ち着いていた。しかし退院は、毎日、点滴に病院に通うという条件の下でのことだった。その後もコロちゃんはよく吐いた。吐くことがコロちゃんの主要な症状だった。その間、コロちゃんはほとんど、口からは食事をとっていなかったと思う。
　あるとき、ケージの中のコロちゃんの状態が良いように見えた。固形食糧を食べるようなそぶりを見せた。そこで、子猫用の缶詰を与えてみた。コロちゃんはよく食べた。これで回復したかと思った。
　しかしその数時間後、コロちゃんは食べたものをほとんど吐いてしまった。コロちゃんはまた食べるそぶりを見せるのでまた食べさせてみると、また吐いてしまった。しばらく食糧は与えなかった。
　それから１日２日経った頃、ケージの中でコロちゃんがまた多量に吐いた。口からは食糧はとっていないので、吐いたのは黄色っぽい液体である。しかし一連の嘔吐の最後に透明な液を吐いた。その中にうっすらと血が混じっていた。同じような吐き方を何度か続けたので、何がおこったのかと私は心配し始めた。（続く）

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