黒子（１） (2005/08/04)
| 我が家で黒子（クロコ）と呼ぶのは、コロちゃんと一緒にメス赤猫の母子（ハハコ）から生まれたメスの猫である。モモちゃんとは母親を同じくする。黒子は三毛、つまり黒、茶、白の猫である。しかし配分からいうと黒が多く、大雑把に見れば黒猫に見える。だから黒子という。父親はおそらく、我が家に時折現れていた黒（クロ）という、文字通り真っ黒で太って、片方の前足に障害があるオスの野良猫だろう。黒は愛嬌のある猫で、現れるときには何か食べさせていたと思うけれども、このところ現れなくなってしまった。 黒子がコロちゃんと一緒に母子から生まれたのは昨年の１０月くらいだろうと思う。他にきょうだいがいたかどうかは分からないが、生き残ったのはコロちゃんと黒子である。 コロちゃんは人懐っこく、寄ってくる。しかし黒子はなかなか人間に寄りつかない。今まで我が家で観察した印象からすると、メス猫は弱い分警戒心が強く、人にはなかなか近づかないように思える。 近くでは見ない分、黒子は面白い、特徴的な猫のように思える。黒く小さい顔で目が大きい。ずん胴で重心が後ろの方にある。なにやらムーミンか何かに出てくる生き物のように思えた。 その黒子が春頃、早々と妊娠して子猫を３匹か４匹産んだ。生む前後を私の娘が目撃していたらしく、実に簡単に産んだという。黒子は産んだ子猫を我が家の敷地内、例えば私が庭に置いた猫用の犬小屋などに入れていたようだ。黒子自体は人を近づけないので、私も無理に近づくことはしなかった。赤ちゃんが食べそうなものを時折庭に置いていた。 母子が黒子やコロちゃん、その前のモモちゃんを産んだときには、我が家の敷地内では産んでいない。母子はしばらく現れず、近所の別の場所で産んでしばらくしてから子猫たちを我が家の敷地内に連れてきた。 黒子が産んだ子猫たちは段々と見かけなくなった。死んでいったのだと思う。最後の１匹は我が家の玄関の近くで死んでいた。モモちゃんを捕獲したときよりもはるかに小さく、ネズミかフェレットのような大きさだった。赤白の墓の付近を掘ってその遺体を埋め、線香をあげて弔った。 いろんな理由があるのだろうが、黒子は子を育てる準備がないか、その能力がないように思えた。 ７月の中旬頃、黒子のお腹はまた膨らんでいるように見えた。７月の下旬、私はヨーロッパに行く予定で、もしかして帰る頃にまた黒子は子供を産んでしまうのではないか、と思えた。 捕まえられるなら、黒子を捕まえて流産と避妊手術をさせたいと思った。しかし黒子はあいにく警戒心が強く、餌をあげてもすぐに逃げて捕まえられそうになかった。（続く） |
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