猫ファイル　 (2005/11/02)

　この前の土曜日、仕事をオフにして自宅の部屋の掃除にかかった。この部屋では書類が散乱し、その上猫トイレの猫砂が散らばっている。その結果、書類がどこにあるか分からず、仕事が停滞気味にならざるを得なかった。
　この日のために先日、ネットで無印良品の書類入れを注文していた。前の日に書類入れが届いていた。書類入れを１階の玄関近くに置き、私の部屋をはじめあちこちに散乱していた書類を集めて書類入れの引き出しに収めた。書類が片付くと部屋も掃除がしやすくなり、箒で掃いてから掃除機をかけ、後で床をマイペットで拭いた。

　書類を整理している途中でいくつか、猫に関する病院の検査結果や支払いの書類が見つかった。それらの猫書類を一つところにまとめようと考えた。
　この猫たち一匹一匹、いや一人一人に思い出がある。最初の書類はメス猫のＡの検査結果などである。Ａは私が餌をやろうと思った初めての野良猫であり、この猫のために犬小屋を買い、温室も建てた。Ａの形見の毛もパックに入れて保存してあった。次はモモちゃんの検査結果などである。この猫は子猫の状態で死にかけていた猫であり、今は大きくなって私の部屋に棲んでいる。
　その次に毛長（ケナガ）の書類がある。毛長が大怪我をし、片足を断脚したときの検査結果や支払いの書類である。毛長もモモちゃんと一緒に私の部屋に今棲んでいる。
　その次の書類群は死んだ赤白の検査結果などの書類だった。この猫の顔を今も思い出す。強くて間抜けで愛嬌のある猫だった。火葬の処理をしたときの領収書もとってあった。
　その次は白（シロ）の書類である。白も怪我をしたので病院に連れて行き、一時、この部屋に住まわせた。しかし回復すると出ようとして聞かないので、再び外に出した。我が家の庭猫ではボスなのであるが、喧嘩が弱くて赤白の代わりにはならない。この猫の書類は、小さな、去勢手術の支払いのレシートだけだった。
　その次がこの夏、ずっと病院に入退院を繰り返したコロちゃんの書類である。コロちゃんもモモちゃん、毛長とともに私の部屋で棲んでいる。
　最後が最近骨折して長く入院させていた黒子（クロコ）の書類である。
　病院に連れて行った猫はもっといるが、書類は残っていないようだ。
　書類を見ながら、死んでいった猫たちのことを思い出した。

　赤白の書類を整理しているとき、部屋の猫たちがその書類に群がってきた。赤白の臭いにでも気づいたのだろうか、と思った。毛長はもともと赤白についてきた猫である。コロちゃんも赤白とは会っており、赤白が最後に庭に出たとき、赤白に鼻をつけて挨拶していた。モモちゃんも赤白と過ごしたことがある。
　だがそれにしてもこの猫たちの寄って来方が異様だった。よく調べると、赤白用の薬の袋の中にマタタビの袋が入っていたのだ。
　書類が残っていない、たぶん死んでいった猫たちのことも思い出して、いくぶんセンチメンタルな気分になった。

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