大白と小白　 (2006/04/19)

　猫の大白（オオジロ）とはもともと、野良猫の赤白にくっついてきた野良猫の一匹である。顔が狐のようで全身が白いから、最初はキツネ猫といっていた。しかし段々と面倒になって、単に「白」（シロ）と呼ぶようになった。白はなにやら威嚇的に行動する猫で、運動能力が高い。我が家の屋根は勾配が急で、この屋根を上がって来られる猫は今までにいない。例外がこの白である。
　白はやや細身で威嚇的な、図々しい行動をする猫だった。なにやらチンピラのように見えたので、「チンピラ猫」と呼んでいたこともあった。昔、大映映画で、勝新太郎が八尾の朝吉を演じた『悪名』で、その朝吉親分に付いてきた田宮二郎演じる清次というチンピラを連想させた。
　で、その白であるが、赤白が死んだ前後に怪我をし、病院に通いながら一時家の中で飼っていたことがあった。そのときに白に去勢手術をした。
　ところが、ちょうどその頃、猫の母子（ハハコ）が妊娠し、子猫を主産したのである。その赤ちゃん猫の中に白い猫が一匹いた。明らかに父親は白である。去勢したからもう子供は生ませられないのであるが、その前に子供を生ませていたので、「よかったね」と私はカミさんと話していた。
　生まれた白い子猫が小白（コシロ／コジロ）である。小さかったから小白、そこで白は「大白（オオジロ）」になった。カミさんはときおり、「小白でない」という意味で「ただの白」とも呼ぶ。
　小さいから小白と呼んでいたが、生まれて１年になるので、大きくなった。今では大白とほとんど変わらない。

　その小白にも、生まれて半年を経過した頃に去勢手術をした。大白も小白も事実上のウチの猫であり、そうする以上は去勢する以外にない。
　オス猫の手術は簡単で、朝連れて行って夕方連れ帰れる。しかし小白がいない時間、大白は庭で小白を待つようにじっと過ごしていた。

　昨夜、私が家に帰るといつものように小白たちが現れた。しかしいつもいる大白がいない。大白と小白がそろっていないと私は心配になる。この親子は仲が良いのだ。
　小白は夜、玄関のコンクリートの通路の上でいつまでも座っていた。まるで大白の帰りを待っているかのようだった。私も大白が現れないので気が気ではなかった。去勢したせいか、大白は運動能力はあるのに攻撃性がなく、喧嘩には弱い。その上、交通事故が心配なのだ。
　夜半頃、私が庭の小白の傍にいると、大白が現れた。大白のことを撫でて、やや高めのパウチの食糧をあげた。

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