バカな猫ほどかわいい (2006/08/27)
| 「馬鹿な子ほどかわいい」という言葉を思い出すたびに成る程な、と思う。私は元来ガキは嫌いだったが、自分の子供が出現してからはかわいいものだと思うようになった。人はそういうふうに出来ているのだから、抗うこともないだろう。賢かろうが馬鹿だろうが、子供をかわいいと思う気持ちに変わりはない。が、賢ければ念頭に浮かぶことも少なかろう。馬鹿な子であれば嫌でも考える。ここから先は、認知的不協和の理論でも適用すれば馬鹿な子ほどかわいいと思う気持ちが演繹されるだろう。自己知覚理論でもよい。馬鹿な子供のことをあれこれ考える自分を認識しながら、ああ自分はこの子がかわいいのだなぁと納得してゆくのだろう。 猫も同じだな、と思う。 先日の夜、私が庭の物置のある辺りにいると、どこからか猫のニャ−という声が聴こえる。声は家の中から聴こえるように思えた。近くの部屋には家猫のチーコがいる。チーコが鳴いているのか、と庭から家の中のカミさんに聞くと、そうではないという。この声は物置の方から聴こえる、とカミさんはいう。が、物置の方角には猫は見当たらない。おかしいな、と思ったら、実はその部屋の上の屋根に庭猫の白（シロ、大白：オオジロ）がいて訴えるように鳴いているのに気が着いた。大白はときおり、勾配が急なこの家の屋根に登る。しかし今いる場所は勾配が小さい場所がなく、たぶん大白はそこまで行って進退窮まってしまったのだろう、と思った。カミさんは困っているような鳴き方ではないではないか、というが、私には困った声に聴こえる。 猫というのはしばしば、高いところに登って降りられなくなって困るものである。なら登らなければよいだろう、と思えるけれど、そこば猫の馬鹿なところである。 大白の息子の小白（コジロ）が私の近くに来て、大白を心配そうに見ている。メス猫の母子（ハハコ）も近づいてきた。 大白は愛嬌者で、ときおり馬鹿なことをする。息子の小白は慎重な性格で、屋根に登ったりはしないけれども、大白は平気でバカをする。 私が大白に声をかけて、ここに飛び降りろというが、大白は逡巡して鳴き続ける。飛び降りたときのクッションになるものはないかと私は周囲を歩き回って探した。するとドスンという音がした。大白が落ちたのだろうと音の方向に行くと、白いもの（たぶん大白）が走り去ってゆくのが見えた。あれだけ走れれば怪我はなかろうと思えたけれど、心配だった。道路まで出て大白が去った方向を探したけれど、見つからなかった。 大白のことが心配でなかなか家の中には入れなかった。すると白い猫の姿が現れた。小白だった。その後にもう一匹、白い猫が現れたので、大白だと分かった。大白に触ってみたけれど怪我はなさそうで、安心した。 馬鹿な猫ほどかわいい。 |
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