母のこと (2007/04/12)
| 今年の１月３１日に母が亡くなった。あと１２日生きながらえれば８５歳になっていた。 私の父が死んだのが今から３０年前である。だからこの３０年ほど、親といえば私には母しかいなかった。 この３０年の間、私は母から遠く離れて暮らすことはほとんどなかった。実際、私は常に母の近くにいようとし、母のいる郷里に近いところに職を見つけ、暮らすことに腐心してきた。しかし、だからといって一緒に暮らしていたことはほとんどない。時折母のもとを訪れていただけである。 母と一緒にいても話すことがあまりなかった。母は私がひどく無口であることに苛立つようであったが、私は特に話をすることを要するとも思っていなかった。 母は確かに亡くなった。しかし、近くにいながら会うこともあまりないのが常であったために、母の死によって何かが変わったような気にはなかなかなれない。 肉親というのはそんなものなのかも知れない。生きていようが死んでいようが、その存在は自分の一部になっていて、しかもそのことになかなか気が付かないのかも知れない。そういえば私の父もそんな存在なのだろう。などと考えるようになった。 |
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