続・犬のピーちゃん　 (2008/03/23)

　私の家に犬もいる、ということはあまり知られていない。時折この犬の話も周囲にしているので、ついでにここで書いておきたい。
　ウチにいる犬とは、メスのポメラニアンのピーちゃんである。猫より小さい。ピーちゃんを家で飼うに至った経緯は以前にここに書いたことがある。

　　　犬のピーちゃん(2007/06/30)

　もっとも、愛犬家の某氏は「ポメラニアンは犬とは認めたくない」という。
　このピーちゃんは、先に書いたごとく、２階にある上の娘の部屋でずっと暮らしていた。いくぶん気になったのは、ピーちゃんを誰も散歩に連れて行かないことである。犬には種類ごとにどの程度の距離／時間で散歩をさせるべきかという基準がある。ポメラニアンの場合、身体が小さいこともあり、距離は短い。だからまあ、それでもよいのか、と思った。質問するとカミさんは「いいんだ」という。
　気になったのはむしろ、娘やカミさんがあまりピーちゃんを構っていそうにないことだった。私自身は猫に専念しており、ピーちゃんのことは娘とカミさんに任せてある。だからあまり気にせずに、私自身がピーちゃんを構うこともなく、時が経過した。
　時折、何かのついでに娘の部屋に入ると、犬用のサークルの中でピーちゃんはうれしそうに騒ぐ。だからわずかな時間でも構ってやる。

　そんなこんなで正月を過ぎた頃、カミさんが犬用の小さなサークルを買ってきて居間に置き、ピーちゃんをそこに連れてきた。今まで娘の部屋に入れていたサークルに比べてやけに小さい。そもそもなぜ、娘の部屋に置いていたピーちゃんを居間に連れてきたのか？　居間は家猫チーコのテリトリーであり、ピーちゃんを連れてくるとチーコも嫌がるのは目に見えている。
　どうも、娘がピーちゃんを自分の部屋に置いておくのが嫌になったようだった。多数の猫と狭い部屋で暮らしていて平気な私とは異なり、娘は神経質なようである。そこで、夜中にピーちゃんが騒いだり、ウンコをしたり、というのに疲れたようであった。その娘の訴えを聞いてカミさんはピーちゃんを居間に連れてきたようだった。
　ただ、今までは中である程度走りまわれた広さのサークルに入っていたのに、今回はやけに狭く、身動きも出来ない。これは虐待だ、と私には見えた。そこで、今までの大きなサークルを黙って持ってきて、居間に置いてピーちゃんを入れた。
　それで黙っているほど私のカミさんは甘くはない。今までよりはやや大きめのサークルを買ってきてピーちゃんを入れるとともに、今までの大きなサークルを早々と不燃物で出して、捨ててしまった。
　今度のピーちゃんのサークルは、前回のものよりはやや大きく、その中でピーちゃんは辛うじて、くるくると身体を回すことはできる。しかしそれでも、動き回るには小さい。
　むろん私も黙ってはいない。時折、居間を整理してピーちゃんが口に入れる物がないようにし、居間に家猫チーコがいないことを確認してから、サークルを出してあげる。ピーちゃんは喜んで、跳ねながら居間じゅうを走り回る。
　寝るときは、以前は娘と同じ部屋にいたのに、今はピーちゃんは独りになる。そこで私は布団を居間に持ち込み、ピーちゃんのサークルを枕元にして寝ることにした。蒲団の中から手を出してサークルの中に入れると、ピーちゃんは私の手をよく嘗める。そんな日々が２、３週間続いた。
　カミさんに言わせるとピーちゃんは今までよりは人の傍にいるから、幸せなのだ、という。ということは、今までが放っていたということか、と思えた。

　猫や犬を飼うというのは、生易しいことではない。戦いである。私には、カミさんや娘が、生き物を虐待する鬼妻、鬼娘に見える。カミさんや娘たちは私を、猫や犬のために家族を顧みない放蕩オヤジと見るだろう。

　今は私も、ピーちゃんの傍で寝る訳ではない。が、なるべくピーちゃんを構ってあげる。時折、サークルの外に出して走り回らせる。そうこうしながら、犬も可愛いものだなと思うようになった。これほど嬉しそうに走り回る光景は、猫にはないことである。

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